ダニ目(Acarina) フシダニ科(Eriophyidae)

[形態]
 ダニえいを作るフシダニの成虫は、体長が0.2mmくらいの微小なダニで、他のダニとは脚が4本(2対)しかないことで区別できる。顎体部には触肢が2本接合した口吻があり、その上に鋏角と補助針が口針状にのびている。この口針を植物組織に突き刺して汁液などを口吻のもとにある口から吸収する。雄は雌に比べて体が小さく、数も非常に少ない。

[生態]
 フシダニの発育段階は幼虫期を欠き「卵 → 第1若虫 → 第2若虫 → 成虫」の4つで、第1若虫と第2若虫の後に休止期といわれる短い脱皮準備期がある。年間世代数は1世代から十数世代におよぶものがある。単生生殖をおこなうものが知られていて、受精しない雌は雄のみを産み、受精した雌は雌と雄を産む。越冬は普通雌成虫でおこなわれるが、夏季雌とよばれる第1雌と、形態が異なった越冬期の第2雌を作るものがある。第2雌は越冬後に、第1雌と雄を産む。植物にえいを作るフシダニは、体が円筒形または紡錘形の種に多い。

[フシダニえい]
 フシダニのえいは、形成される植物の部位やえいの形態によって、いくつかの型に分けられるが、開口しているものが多く、毛氈状の毛の間で増殖し、密度が高くなると開口部を利用して脱出する。えいの形成は、植物の展葉の時期とダニの活動期とが関係し、越冬したダニの活動と展葉時期が一致する5〜6月に多く、以後は、えい内で増殖したダニの移動分散にともなって、未展開の葉が多い茎の頂部で多くみられるようになる。