はじめに
製作、管理者 南 常雄(北海道旭川市)
山野を散策していると、今まで気にもとめなかったものに目がとまり、興味をそそられることがある。そんな日常の中で体験する世代のいとなみの、ほんの一部を紹介できればと思い、ホームページを開設した。虫こぶは身近な存在であり、このホームページが、新たな驚きと喜びを体験できるきっかけになることを願っている。
虫えい(虫こぶ)とは
えいとは、えい形成者から出されるなんらかの刺激に対して、植物が組織分化の途中で反応し、その結果、植物の一部の細胞が異常に増殖したり、肥大したり、無核や巨大核、多核など核に異常が生じたり、あるいは、組織分化の過程が狂ったりすることによって引き起こされる、組織や器官の病理学的に異常な形状のことをいう。異常形状のなかには、肥大したものだけではなく、縮小したものもふくまれる。
このようなえいが植物の特定の組織だけに形成されたものを組織えい、器官全体がえいになったものを器官えいという。茎や葉、根などの一部の組織が肥大したえいは組織えい、芽や花、実など全体がえいになったものは器官えいに相当する。ただし、組織と器官がともにえいとなり、両者が明確に区別できない場合もおおい。
えいは、ウイルス、バクテリア、菌類、線虫類、昆虫類、ダニ類などさまざまな生物によって形成される。それらのうち、特に昆虫類によって形成されるものは昆虫えい、ダニ類によるものはダニえいと呼ばれている。
表記について
詳細な説明は図鑑などを参考にしていただき、ここでは、関連する写真を多く添付して、視覚的な興味に趣をおいた。生態などの期節にかかわる記述は、おおむね北海道の生息状況にあわせた。また寄主植物については地域によって異なるものもあり、ここでは北海道に自生する寄主植物について紹介する。採集や撮影地名は、市町村合併以前のものはそのまま表記し、合併以降のものは新市町村名のほか地区名も記載する。成虫の体長は、数ミリ以下のものが多く、特に付記がないものは、触角や産卵管を含む大きさとした。また写真のよこに撮影日を添付した。
参考図書
日本原色虫えい図鑑(全国農村教育協会 1996年6月初版)
日本原色アブラムシ図鑑(全国農村教育協会 1983年5月初版)
虫こぶ入門−虫と植物の奇妙な関係(八坂書房 1995年8月初版)
虫こぶ入門−虫えい・菌えいの見かた・楽しみかた(八坂書房 2007年3月増補版)
虫こぶハンドブック(文一総合出版 2003年6月初版)
図説植物用語事典(八坂書房 2001年7月初版)
原色日本薬用植物図鑑(保育社 1981年7月改定版)
北海道の花(北海道大学図書刊行会 1998年7月増補版)
北海道の樹(北海道大学図書刊行会 1992年5月初版)
北海道の昆虫(北海道新聞社 1979年5月初版)